花粉症の救世主!?花粉の飛ばない無花粉スギとは?
2016/12/27
毎年暖かくなってきた嬉しさと一緒にやってくるスギ花粉。
花粉症の人にとっては
嬉しさよりも憂鬱さのほうが大きいかもしれません。
もはや国民病とも言われるスギによる花粉症ですが、
近年、花粉の飛ばない『無花粉スギ』と言うものが徐々に植えられているようです。
この無花粉スギ、一体どんなものなのか気になって調べてみました。
Sponsored Link
偶然発見された無花粉スギ「はるよこい」ってどんなもの?
風に乗せて大量の花粉を飛ばして繁殖するスギ。
このように風で花粉を運ぶ木々を風媒花と呼びます。
戦後、復興や林業の発展のために大量に植えられたスギが現在、
大量の花粉を運び、それによって花粉症が引き起こされているのです。
そんな中、花粉の飛ばない無花粉スギが見つかったのは平成4年。
スギ花粉の観測を行っている場所の1箇所、
とある神社の境内で1本だけ花粉を出さないスギが発見されました。
この無花粉スギを交配によって品種改良し、
花粉がより少なく、挿し木でも生育しやすいといった特徴を備えたのが、
無花粉スギの「はるよこい」なのです。
スギ花粉症の人でも春が待ち遠しくなる名前ですね。
花粉が飛ばないのにどうやって増えるの?
木や草などの植物は花粉が受粉することで種をつくり繁殖しますが、
花粉の飛ばないこの木ではどうやって量産していくことになるのでしょうか?
そのひとつの方法が挿し木です。
いも類などでもよく取られる方法ですが、
大きめの枝や茎を地面に挿しておくと、
そこから根が伸び、1本の木として成長していきます。
この方法では、元々の無花粉スギと同じ遺伝子を持ったまま成長していくので
花粉の飛ばない特性をもたせたまま増やすことができます。
そして二つ目の方法が人口的な交配です。
このもととなった無花粉スギですが、
花粉を作る雄花の機能に異常があり、
花粉が生成されなくなっているため花粉が飛ばないというものでした。
そこで、雌花に他のスギからとった花粉をあわせて種を作ることで
新しく育てようという方法です。
挿し木との違いとして、
交配の場合他のスギから取ってきた花粉と
掛け合わせて種子が作られるため、
育つ木は元とは異なる遺伝子を持っています。
その為、先に書いたように挿し木で育ちやすいなどの
特徴を持つように改良が行えるのです。
花粉症でも反対派!どうして?
花粉症の人にとってはとてもありがたいこの無花粉スギですが、
一部の人たちはこの無花粉スギに反対という人もいます。
実際に花粉症を患っている人でも
この無花粉スギに反対する人がいるそうです。
その最大の理由は、生態系への影響です。
使い始めた当初は問題ないとされていた物が
予想外のところで生態系へ大きな影響を与える、
あるいは人体に被害が出るということは、常に可能性として考えておくべきでしょう。
また、自然環境なのだから、
自然の流れのままに任せたほうが良い
という考えで反対している人もいるようです。
ただ、そもそも現在日本の森林の8%を占めるスギの森林は
戦後に人の手によって管理のしやすい材木林を作るために
人工的に植えられたものなので、悩ましいですね。
まとめ
日本国内のおよそ3人に1人が花粉症と言われる現代。
自分には関係ないことだと思っていた人でも、
ある年突然、花粉症を発症したなんて話も全く珍しくありませんよね。
最大の花粉症であるスギ花粉の減少で、
少しでも花粉症に苦しまなくて済むようになると良いですね。